山国からの移住者が見た、珍し・美し・楽しき離島伊良部

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Author:ラテン系マラソンおじ
 07年7月北関東から沖縄の離島・伊良部島へ。「蛇蝎のごとく」ヘビ年生まれのサソリ座。ラテンアメリカ大好き。本場中南米製ハンモックで眠るゲストハウス「カサ・デ・アマカ」管理人。http://www2.miyako-ma.jp/t-skym/index.html

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放っておいても品よく育った伊良部娘、グァバ


 あちこちの庭に植えてあるので、それほど珍しくない。
 木の下を通りかかるといい匂いがする。
 花のような芳しい香りで、暗闇でもそれとわかる。

 グァバ。
 島ではバンシローといいます。

  *  *  *

 普通は、手を伸ばして1個を失敬し、Tシャツでひと拭い。
 ヘタだけとって皮ごとがぶり。
 誰も、うるさいことは言わない。
 ポケットにたまたま入ったいくつかは、家に持ち帰り冷蔵庫で冷やし、水で洗って食べる。
 オバアたちはジュースにするが、やはり、皮ごとかじっちゃうほうが美味しい。

 果実全体がしなやかだ。
 皮も硬くなく、柑橘系っぽい香りと味がする。
 鼻にほわっと抜ける青い甘みは、ごく軽い。
 酸味は爽やかである。

 種はかなり硬いが、ポリポリ割れる音を楽しむ。
 わずかな苦味が隠れている。
 
  *  *  *

 庭木だが自然。
 味も自然。
 放っておいても品よく育った伊良部娘。

  *  *  *

 伊良部島に来てから果物が大好きになりました。
 夏を待っていたかのように、次々と艶っぽい姿態を見せては、眼を、舌を、喉を、胃袋を楽しませてくれます。
 
 島はやっぱり夏が一番!
 
2008/08/13 17:19|食べ物・飲み物TB:0CM:6

いつもそばにいて欲しい、シークヮーサー


 どこから引っ張ってきたのか、出処は同じなのでしょうが、ウィキペディアでも何でも次のようにまったく同じ説明をしています。

シーは「酸」、クヮーサーは「食わせるもの」。シークヮーサーで「酸を食わせるもの」という意味。芭蕉布を織り上げた際に、そのままでは固い布をシークヮーサーの果汁で洗浄し、柔らかくしたことに由来する。

 ほんとかな。
 「酸を食わせるもの」って、なんかよくわかんない。

 でもシークヮーサーが琉球語であることは確かです。
 (伊良部島で何と呼ぶか。すみません、忘れました。)
 「原産地は台湾・沖縄」と書いてあるものもありましたが、確かめられません。
 でも、アジア系っぽいですよね。

  *  *  *

 柑橘類。夏の今が旬。
 料理にしぼって、臭みを消したり、アクセントを加えたりするところはレモンやライムと使い方が同じだ。
 完熟すると皮が黄色くなり甘みが増すのでジュースにする。 (実がちっちゃいせいか、これは結構高い!)

 酒飲みは、カクテル用に重宝する。

 見かけは小ぶりなライムである。(あるいはカボス、スダチ?)
 ライム・グリーン。いい色です。
 基本的にはやはり酸味が強いのだが、直接かじっても強烈に酸っぱくはない。
 色そのものからしぼったような爽やかな苦味が、泡盛、ラム、テキーラ、ピンガ、ジンなどの蒸留酒を一段格上に仕上げてくれる。
 レモンほどのシャープな酸味に欠け、ライムほど香りが立ち上がらないけれど、沖縄的、アジア的素朴さが心地よい酔いを誘う。
 さりげなく気が利いている。女房にしたいタイプ。

  *  *  *

 昨夜は、シマ(泡盛)の水割りにひとひねり。
 今朝は、野菜ジュースにひとひねり。
 
 シークヮーサーは、涼風です。
2008/08/09 14:58|食べ物・飲み物TB:0CM:7

パッションフルーツは「情熱の果実」だ


 パパイヤ、マンゴー、島バナナ、ドラゴンフルーツと、伊良部島のトロピカルフルーツをご案内してきましたが、まだまだあります。
 
 シワだらけになったほうが美味しいって勇気づけられます。
 パッションフルーツです。
 やはり南米原産のラテン系。
 ブラジルではマラクジャという名前があり、現地では生ジュースの断トツ、トップアイドルです。

  *  *  *

 張りのある、紫色の艶っぽい肌が茶色のシワシワになり、もう捨てようかと思ったあたりが食べごろだ。
 (ああ人生。複雑な感慨にとらわれるのは私だけですか?)
 
 適度な硬さの種ごと、スプーンでほじって食べる。
 食感に打たれる。
 種はパリパリ、種の周りはチュルっと歯に当たる。
 そのコンビネーション具合がいい。
 けっこうジューシーで、レモンに近いくらいあるかと思われる酸味を、熟した甘みがカバーする。
 このコンビネーション具合も抜群だ。
 表皮には、柔らかなみかんの袋のような薄皮が張り付いているので、これも実といっしょに食べる。
 しなっとした別の食感が、また口の中を賑やかにする。
 薄皮だけでも香りがあってうまい。

  *  *  *

 南米原産だから「パッション(情熱)の果実」なのかと思ったら違うのですね。
 「キリストの受難」の意味のパッションなんですと。「耐える」って感じのpatientと語源を同じくするようです。
 花の形に宗教的意味をこじつけてそう名づけたとあります。

 老いてシワに包まれても、ぴちぴちした食感とパンチある味わいは、なお衰えない。
 「受難」ではあるものか。
 「情熱のフルーツ」と呼ぶほうがどれほどふさわしいか。
 そう思いませんか。
 
2008/08/06 09:49|食べ物・飲み物TB:0CM:7

清楚なラテン系ドラゴンフルーツ


 サボテンの実、ドラゴンフルーツです。
 原産地はメキシコ。
 葉っぱのような突起物、目の覚めるような赤紫。
 形や色は、いかにも情熱のラテン系ですが、人は外見から判断してはいけません。
 見かけからは想像のつかない清楚な魅力の持ち主です。

  *  *  *

 伊良部島佐良浜港近く、海を見下ろす土手に、とげの生えた棒状の三角サボテンが地を這うように生えている。
 誰が植えたのか、どこから飛んできたのかは知らないが、とにかく自生している。
 家庭の庭でもよく見かける。近所のおじさんに、一本折ってきて土に刺しておけば簡単に根付くといわれたが、残念ながらカサ・デ・アマカには適当な庭がなく、まだ試していない。
 この実がドラゴンフルーツである。

 真っ二つに切って、スプーンですくって食べる。
 食感はキウイフルーツに近いが、黒い種がもっと細かく、ぷちぷち歯に当たるほど大きくはない。
 ほのかな甘みと、ほのかな酸味がとてもさわやかだ。
 しつこくない。品がある。
 情熱の赤に、清楚な、つつましやかな少女が隠れている。

  *  *  *

 伊良部島には、赤と白、レッドドラゴンとホワイトドラゴンがあるといいます。
 味比べ、してみたいものです。
2008/08/04 08:33|食べ物・飲み物TB:0CM:0

やっぱり王様は島バナナ!


 大きく出ます。
 地球上で、バナナほどポピュラーな果物はない。
 バナナが嫌いだ、という人にほとんどお目にかかったことがない。
 その上品な甘さと風味、お腹へのやさしさ、生食でよし、ジュースでよし、料理してよし、お菓子によし。
 果物の王様だと思う。

  *  *  *

 島酒、島豆腐、島ラッキョウ、島唄など、沖縄では、名物や特産品に「島」を冠することが多い。
 島バナナもそのひとつです。

   *  *  *

 ずんぐりむっくりしている。
 モンキーバナナほどではないがチビである。
 三日月のような独特のカーブがなく、ほとんどまっすぐ。
 見慣れていないせいか、何だかぽてっとして不恰好である。

 しかし、これはどうも鉄則らしいのだが、ぶおとこ、しこめほど味わい深いというではないか。
 島の王様も期待を裏切らない。

 ご覧のように、黄色い肌に黒い点々が出てくると食べごろである。
 それまでは、酸味が強すぎるので手を出さないほうがいい。
 皮が薄く、身がみっちり詰まっている感じ。
 輸入物でがっかりさせられることのあるぱさつき感がなく、ねっちりしていて、甘さと酸味が相当にフルーティーだ。
  ちょっとした芯と微妙な苦味は野生種に近いからか。

  *  *  *

 島バナナは、伊良部島の庭先でよく見かけるし、どこにでもありそうなのだが、買うと高い。
 国内産、稀少、高級バナナである。
 島人は房ごとお供え物に使ったりするから、高くても意外と需要がある。
 それに、やっぱり、うまいのだ!
2008/08/02 17:00|食べ物・飲み物TB:0CM:2

マンゴーは島産くだものの女王様


 マンゴーは、伊良部島産くだものの女王様です。
 何せ高貴。
 味はもちろん高貴なのですが、値段もしかり。
 ここ産地でも、こぶりなのが1個700、800円から1000円程度。おおきな高級品は何倍もする。
 とても自前では口に入りません。

  *  *  *

 ブラジルのある町では街路樹がマンゴーだった。
 とても高いところに実っているので、町の人は通りかかっては空を見上げ、完熟して落ちてくるのを待つ。
 運を頼りに拾って食べるのである。
 ただである。

 それはともかく、伊良部島では、しもじもの者はいただき物しか食べられない。

 切り方もノーブルである。
 中に扁平な種があるので魚のように3枚におろす。
 種の周りはちゅうちゅうしゃぶってから処分。
 2つの切り身には包丁で線を入れて写真のようにひっくり返す。
 何とお上品。

 かなり甘いが、くどくはない。強烈にして繊細。
 パパイヤが柿なら、マンゴーは桃の感触に近い。
 繊維質で、南国の青臭さがわずかに下の奥に残り、おちゃっぴいな野性味も感じさせる。
 女王様は、おてんばな少女時代をすごしたと思われる。
 
 これは私だけか。食べ終わった後、口の周りがちょっとかゆい。
 メロンを食べた後のような、のどのイガイガも残る。
 女王様、いたずら好きなのかしら。

  *  *  *

 パパイヤはメキシコあたりが原産のラテン系だが、マンゴーはインドやインドシナ半島が原産のアジア系。
 何千年もの栽培の歴史があるので多品種である。大きく分ければ赤いのと黄色いのがあって、赤いのはメキシコ系でアップルマンゴー、黄色いのはフィリピン系でカラバオマンゴー(ペリカンマンゴー)というらしい。

 宮古島、伊良部島はもちろん日本産のマンゴーはどれもりんごのように赤いから、メキシコ系なのでしょうかね。 
2008/07/30 10:37|食べ物・飲み物TB:0CM:6

パパイヤの不思議


 沖縄在住以外の方にお尋ねします。
 沖縄には、「フルーツパパイヤ」と「野菜パパイヤ」の2つがある、って知ってました?
 
 *  *  *

 黄色い「フルーツパパイヤ」は、丸い種をとって、生のまま果物として食べる。
 ふつーです。
 果肉は、けっしてジューシーではないが、甘すぎない甘さがあって、私は大好きだ。
 (けっこう甘い種類もあるらしいですが…)
 かりっと硬くもなく、ぐにゃっと軟らかくもない、しなやかな抵抗感があり、柿の歯ごたえとよく似ている。
 微妙なえぐみのような、渋みのようなクセも、どこか柿っぽい。

 皮の色が青い「野菜パパイヤ」は料理に使う。
 さっぱり系で、何とかいう消化酵素やビタミンがたくさん含まれているらしい。
 千切りにして(果肉は白い)、ほかの野菜や豆腐、たまごなどと炒めれば「パパヤー・チャンプルー」。
 水にさらしてからサラダ、干してから煮物に使うところなどは、まるで大根だ。

 ラテンアメリカを旅行中に私はしょっちゅうお腹をこわしていたが、「パパヤを食べれば治る」とビッグ・ママによく言われたものだった。
(原産地はそのあたりだから、いかにも別の種類と思われる、色々な味わいのパパイヤを食べた。)

  *  *  *

 そんなこんなで、私は今日の今日まで、「フルーツパパイヤ」と「野菜パパイヤ」は別の種類で、別の木に実るものだと思っていました。
 しかし!

 道端に自生している青いパパイヤに伊良部の島人は見向きもしません。
 フルーツ種でなく、それほどうまくない種類だからだ、と思っていました。

 単なる、思い込みでした。
 ネットで調べてみたら同じもの。
 実が熟す前の青いうちにも食べるし、熟して黄色くなってからも食べるだけのこと。
 島の人が見向きもしないのは、自分の庭にたくさんなっているからなのですね。

  *  *  *

 と書いて来ても、まだ確信がありません。
 不思議のままです。
 「フルーツ」と「野菜」は同じ種類?
2008/07/28 12:41|未分類TB:0CM:5

白鳥岬「暗黒の洞窟」


(続きです)

 私が「行きましょう」と促した。
 ジェニーAは後ろで、年寄りはどうとかこうとかぶつぶつ言いながら再びパドルの手を動かした。

  *  *  *

 カヤックは二人乗り。私が前席、ジェニーAが後席である。
 波が不安定で、海洞の口は高さ50センチあたりを上がったり下がったりしている。
 仰向けにひっくり返り、シーカヤックの鼻を突っ込む。
 前の私が両手を自由にして岩をおさえてカヤックを安定させる。
 微妙な技が求められる操舵は、ベテランのジェニーAである。
 
 入り口をすり抜けると、目の前をふさぐように大きな岩がぶら下がっていた。
 しっかり硬い鍾乳石だった。
 鍾乳石と言うくらいだから、やっぱり「乳」だ。
 小さな部屋の中央に垂れ下がる巨乳である。
 
 左側に通路が見える。天井は低く尖っているが、また同じように仰向けの姿勢で抜けられそうだ。
 「行くよ、ジェニー」
 ジェニーAは、まだ何か煮え切らない。
 海洞の中は、うそのように波が消え、穏やかである。
 両手で岩を伝い、右へ巻くように進む。
 偵察目的だったのでヘッドランプは一つ。後ろのジェニーAが着けている。前方は暗黒である。

 5メートルほどの隘路の先には、大きなドームが待っていた。
 入り口を思うと、信じられない広さの空間である。光はまったく届かない。
 二人で感嘆の声を上げた。ヘッドランプの明かりを頼りに首を回しているのだが、ドームが私たちを中心にぐるぐる回っているような錯覚にとらわれた。しばし幸せな時間が流れた。

 「巨乳の小部屋」「暗黒のドーム」新発見!!
 .......としておこう。

  *  *  *

 暗黒のドームは、シーカヤックが十分に旋回でき、天井には手が届かない広さだった。
 空気は、通りが悪いのか、むっと暑くよどんでいた。

 ジェニーAは、巨乳を惜しむようになでまわし、ややがっかりした様子で海洞を出た。
 この海洞がどこか別の出口まで続いているのではないか、という期待があったからだ。

 暗黒のドームから、左手のトンネルをさらに進んでみたが、残念ながらその先は行き止まりだった。

  *  *  *

 だいずずみ!
 ネイティブ伊良部人ジェニーA、今日もありがとう。
2008/07/23 09:51|自然TB:0CM:3

海の日の、未知の海洞探検


 「海の日」の伊良部島。
 今日も快晴です。海に出るに限ります。海の上は爽やかです。

 この日、シーカヤック男ジェニーAと、誰も知らない「海洞」に入りました。この夏ブレークした「青の洞窟」に勝るとも劣らぬ「暗黒の洞窟」です。
 プチ冒険。伊良部のふところ深さに、あらためてしびれました。

  *  *  *

 海洞とは、海に向かって口を開く洞窟である。海側からしか確認できないし、進入することもできない。
 伊良部島の北東海岸は断崖絶壁が続き、地元民も知らない(もちろん観光客が知る由もない)海洞がいくつも潜んでいる。

 ジェニーAと2人。シーカヤックで、白鳥岬附近の、とある小さな湾に接近する。
 高さ5、60センチ。幅2メートルほどの口をジェニーが見つける。
 
 中はまったくの闇で海洞かどうかも不明なのだが、原住民ジェニーAは何かを嗅ぎつけている。
 野生の勘である。
 目を凝らしていると、穴が奥までずっと延びていそうに思えてくる。そんな気配が感じられてくるから不思議だ。

 海は穏やかだけれど、シーズン真っ盛りで混雑するダイビングボートや漁船の立てる波がうねりとなって不定期に押し寄せ、小さな入り口がさらに小さくなったり、次の瞬間にはぱっくり開いてスキを見せたり、まったくもって男心を惑わせる。
 突入するにしても高さがぎりぎりいっぱい。中は本当に洞窟が続いているのか。入ったはいいが、身動きできなくなったりはしないか。

 ジェニーAのパドルが止まった。
 茫然とし、どこか遠くを見ている。

 ジェニーAは、しがらみが多く、このところ上げ潮にあり、財産を増やしつつある。
  この幸せをまだ失いたくない。
 はっきり言うと、ビビッている。背筋に何か得体の知れぬ寒気を感じているようでもある。
 (島人は、目に見えぬ何ものかを感じる天性がある!)
 一方私は、明日にでも島で死ぬ覚悟である! 金よりも「今」が欲しい!

 当然、私が決断した。
 「バモス! レッツゴー! あいだらいー!」

  *  *  *

 すみません。「私」が誇張されています。
 「ジェニーA」については事実です。
 続きはまた後日。
2008/07/22 10:33|自然TB:0CM:7

カサ・デ・アマカのゲストの傾向


 ゲストハウスを開くにあたっては、「私好みにする」ことだけを考えました。

 私好みの宿。
 のんびり、長く滞在できること。その一点。
 安宿リゾート。
 眺めのよいテラスにハンモックが揺れ、やさしい音楽が流れ、本棚には睡眠誘発用の短編小説や紀行文が並んでいる。

 わいわい楽しく盛り上がる、みたいなのはごめんです。
 安く泊まれりゃいいってのも願い下げ。

  *  *  *

 ところで、カサ・デ・アマカを探し当てて泊まりに来てくれるゲストの方の、これまでの「傾向」です。

 一番多いのは、女性の一人旅。
 年齢を尋ねたわけではありませんが、きゃぴきゃぴ世代でも、どっしり世代でもなく、どっちへ曲がるのか微妙な世代。
 
 次はカップル。
 どちらかというと女性主導型で、ネットなどでの調査が行き届き、きちんと計画を練っている模様。

 え、そんじゃ、女性に好かれているってこと?
 なんとも。

 あとは、ぱらぱらとおじさん。

  *  *  *

 今は相当にくたびれましたが、かつて、主に中南米の国々で、安宿を探しては薄暗い扉を開け、ほろ苦くも楽しいひと時を過ごしました。
 たくさんの安宿をねぐらにして、ブレーキを踏んではアクセルを吹かし、沈没しては浮上しました。

 心折れ、思い屈し、やむにやまれず旅に出て、あーたらこーたらもがいたあげく、やっぱりどうにもならず、つかの間の休息を求める一人旅の青年。
 今はそんな人、いないのでしょうね。
(注:この一人旅の青年って私のことではありません。)

 この数ヶ月、カサ・デ・アマカのゲストのうち、20代の若き男の旅人はたった一人。
2008/07/19 01:32|未分類TB:0CM:10

カサ・デ・アマカ管理人のまけおしみ


 07年に封切られた映画『めがね』は沖縄の民宿が舞台だった。
 とある離島。
 登場人物がいずれも眼鏡をかけ、あるようなないような時間が流れる。
 宿にほとんど客が来ないところだけは、ここ伊良部島のゲストハウス「カサ・デ・アマカ」とそっくりである。

  *  *  *

 カサ・デ・アマカでは、今のところホームページとこの管理人のブログ以外、宣伝のようなことは何もしていない。
 ホームページとてかなり格下らしく、「伊良部島 ゲストハウス」をキーワードに検索してもヒットしない。
 相当さびしい
 それでもポツポツとだがゲストが泊まりに来てくれるのだから、かなり、超、うれしい

 でもどうやってカサ・デ・アマカを見つけてくれるのだろう。
 何度かゲストの方にうかがってみた。みなさんの答えは、一致しているもののおぼろだった。
 「何となく見つかった」
 「いつの間にかたどり着いた」

  *  *  *

 オープンしてまだ数ヶ月のカサ・デ・アマカですが、それなりに「こんな方に来て欲しい」という思いがあります。幸いにして、オープン以来、「来て欲しくない」と管理人が感じるゲストにはまだ一人もお目にかかっていません。

 映画『めがね』では、宿への道がわかりづらく、なかなかたどり着けないという設定でした。
 でも、だからいいんだ、と感じるのは、管理人の「まけおしみ」でしょうかね。

 *めがね
 監督荻上直子。出演小林聡美、もたいまさこ、市川実日子ほか。
 (久米島か本島のどこかがロケ地だったような…)
2008/07/15 09:19|未分類TB:0CM:2

「通り池」に降りてシーカヤック


 島に住みついていると、めったに体験できない、いいことがあります。
 下地島の名所「通り池」をシーカヤックで遊覧しました。
 (島はじまって以来のこと、らしい。)
 ふだんは、がけ上の遊歩道からのぞきこむ大きな池です。

 船長ジェニー・Aならではの行動力で実現しました。 
 (本来の目的は、某筋から依頼された池のゴミ拾いなのですが、以下ではその詳細は省略させていただきます。)

  *  *  *

 通り池は、直径75メートルと45メートルの2つの大きな池である。
 メキシコ・ユカタン半島のセノーテとよく似ていて、絶壁に囲まれている。
 古代マヤの民は豊作だか雨乞いだかのために、人や獣を生きたままセノーテに放り込みいけにえとした。底からは若い娘の骨がざくざく発見された。
 「通り池に下りる」と話したら、ちょっと違う世界を見ることができるイロさんが、そんな世界に無神経な私に言った。
 「悪いことは言わない。塩だけは忘れずに。特に右の池に感じます。上がるときでいいから肩に振って清めてきてください。連れてこないようにお願いします」

 シーカヤックは絶壁をロープで降ろし、人は宙吊りのアルミはしごからカヤックに乗り移る。落下しても水の上。ライフジャケットを附けているのでメタボのシンゴさん以外は落ち着いたものである。

 静寂。穏やか。オールがすいすい快適に滑る。
 岩肌の造形が異様で、別の星に舞い降りたような気分。
 絶壁の底にしては圧迫感がない。鍾乳石があちこちに見られる。空は明るく、見下ろす観光客よりもむしろ高い場所にいるような気持ちよさである。

 2つの池を結ぶ通路は、観光遊歩道のちょうど真下にある。今日のところは、頭に注意すれば抜けられる高さに開いている(写真右)。
(池は地下で海とつながっているので、潮の干満によって池の水位も変わる。)
 
 船長は見たこともない魚に声が裏返り、海蛇だらけの洞窟に上陸してさらにトーンを上げた。
 私はこっちの池からあっちの池へと移動し、うきうきと何周も巡った。

  *  *  *

 イロさんが心配するまでもなく、原住民たる船長はすべてをわきまえ、酒と塩のお清めセットを用意していました。
 酒を大地にひとふり、自分でひとくち。塩を左手の甲に乗せ、ちょびっとなめてから大地にぱらっ。
 全員がそうしてから通り池に入りました。

 孤独な私は美女の一人も連れて帰りたかったのですが…
2008/07/11 09:27|未分類TB:0CM:6

ヤシガニに脱帽します


 椰子の実が好物だからヤシガニという。ベタです。
 南国の空に映える高い椰子の木によじ登って、あの硬くて厚い殻に、鉄のようなはさみで穴をうがち、ばりばり食い破る。
 伊良部島では、台湾のカブトムシに食い荒らされて椰子が全滅したということで、オレンジ色に熟すアダンの実にターゲットを変えたらしい。

 雑食性なので、果物だけでなく、食べられそうなものは何でも食べる。
 名うての悪食である。
 実際、ゴミ捨て場の生ゴミに顔を突っ込んでいるところを目撃したことがあるが、見てはならぬものを見てしまったようで相当に不気味ではあった。

 宮古島周辺では、土葬した死体を食べるという言い伝えがあり、島人が必ずしも好感を持って評価しているわけではない。
 ゆでても色が変わらず青いままだと毒がある、という風説もある。
 だから、かく生き延びられたのかも知れない、とも思う。

  *  *  *

 各国各地各様に調理法があるらしいが、伊良部では、簡潔明解に「ゆでる」だけである。湯に何も入れないし、肉に何か調味料をつけて食べるわけでもない。

 ゆであがったずんどう鍋にはうっすらと脂が浮いている。それを眼にするだけでもかなり濃厚だと想像がつく。
 殻の硬さは天下無敵。ナットクラッカーのような武器がないととても太刀打ちできない。
(わが家では料理バサミで何とか対応した。)。

 ヤドカリとはいえ同じ甲殻類。味は、やはりカニやエビに近い。濃いめのカニ。
 しかしその濃さを、表現するのがむずかしい。
 肉に歯ごたえがあるから、味覚はさらに惑う。鳥のささ身をさっとゆでてほぐしたような弾力。
 あの硬い殻をブルドーザーのように動かすのだから当然かもしれないが、筋肉が締まっているのだ。しかも脂味が微妙に強い。

 ミソ(写真)はさらに濃い。舌にまとわりつくというより、べとつくほどに脂と旨みを含んでいる。
 これだけ舐めても何の文句もないが、肉にこいつをちょっとからめて口に放り込むと、ビックリマーク!!!海も空もすべてを溶かしたように滋味豊かで、茜や青や緑の入り混じった、壮大な夕陽が舌の上に射した。
 極上の陶酔! 何たる幸せ!


  *  *  *

 マクガンハンター・ジェニーAさんに、心からお礼申し上げます。
2008/07/06 10:00|食べ物・飲み物TB:0CM:4

ヤシガニ、ずんどうナベへ


  ご存知の通り、ヤシガニ(方言でマクガン)は陸に住むヤドカリの仲間です。
 つまりオカヤドカリです。
 軽く40センチくらいには成長します。

  *  *  *

 伊良部島には、体長7、8センチほどの天然記念物ムラサキオカヤドカリが棲んでいる(方言名アマム)。
 まるでヤシガニのミニチュア。そっくりです。 (もちろん食べられる。殻を割って引っ張り出し、炭で焼く。お尻のあたりがうまいらしい。薬効があり口内炎に効くとされる。しかし天然記念物なので、一応、表面上はご法度です。)

 ヤシガニは、あまりに大きく進化したため、ふさわしい貝殻の宿が探せなくなった。それでやむなく裸で生活している。
(カラス相手に、パンツもはかずに暮らす西表島のおじいを思い出した。)
 
 だから、カニと名前が附いてはいるものの、ハサミ以外は似ても似つかない。

 写真を見たフランスの友人は、びびったコメントを寄せた。
「げー、日本人はミガル(Mygalomorphae でかいクモ)を喰うのか」
 私にも、よろいを着た大グモ、タランチュラの化け物のように見える。

 少しは容姿をほめておこう。
 尻尾の部分は、エビのような襞がついて丸まっているので、ちょっとイセエビ的風貌がないではない。

 ふつうヤシガニはよちよち、もさもさ前方に這い歩く。
 けれど、ここぞというときは、わさわさと、後ずさりしてスピードを上げる。その変貌ぶりがちょっと不気味で、声を上げるくらい驚かされる。
(つまり後ろ向きに突っ走る。これは多分エビと同じ習性ではないでしょうかね。)

 
 昼間はじっと岩穴に潜み、瞑想にふける。
 やがて寂寥に耐え切れなくなり、月のない晩などに、あてどなく何かを求め、ちまたを徘徊する…

 鏡を見るようではありませんか。紳士の皆さん。
 

  *  *  *

 さて、いよいよヤシガニは、ぐらぐら煮えたぎるずんどう鍋へ。
2008/07/04 09:43|食べ物・飲み物TB:0CM:2

島のマクガン食べました!


 月はなく星空が美しかった前の晩遅く、 腕利きのマクガン・ハンターが高笑いしました。 30センチのグッドサイズです。

  *  *  *

 装甲車を思わせる堅牢な肢体。
 青紫の輝き。
 ものすごい生命力。
 想像を超えるパワー。

 捕獲したマクガンを調理するには手順がある。
「毛ガニか越前ガニか何かのつもりでそのまま熱湯の鍋に入れたら騒ぎになる。マクガンは鍋の中で大暴れして手に負えなくなる。」(ハンター談)

 よって、まずは息の根を絶つ!
 用意するものはガス・バーナー。

 ハンターがウルトラマン、マクガンがバルタン星人である。 顔だけでなく腹まで黒いウルトラマンは、卑怯にもバルタン星人をひもで吊るし、容赦なくビームを浴びせる。

 炎を浴びた殻は徐々にピンク色に変わるが、ひげを焼かれても目を焼かれても、マクガンは空中でばたばたもがく。体中の色が変わってもまだもがく。
 大きな爪がひとつ落ちた。危機脱出のために自ら落とすのだそうである。
 体が小さく丸まってきた。それでもまだ手足を開こうともがく。

 生きる力。生きたいと思う力。

 かく、私たちは生命を戴く。
 島では、ヤギも絞めるし、豚もひねる。
 それを目の当たりにして、そして食べる。

  *  *  *

 味の報告はまた後日。
2008/07/02 09:40|食べ物・飲み物TB:0CM:4

受難! 青の洞窟


 火が出るほど、側頭部を岩場に打ちつけた。
 いつもより力が入ったのか、利き手の手首がこわれた。

 もう何度も青い洞窟ツアーには同行しているので、いっちょ前に舟を操れるつもりでいた。
 また、性懲りもなく、同じことを申します。海をなめていました。
 その日は、波は立っておらず一見穏やかに見えたのだが、素人目にはわかりづらい重い「うねり」があった。
 うねりは、カヤックを不規則に揉み上げた。青い洞窟入り口は、上下左右、カヤックがやっと通れるほどの大きさしかないのだが、その入り口水位を片時も安定させてくれない。

 キミマロ船長の艇でさえ、試しては戻り、何度もためらったあげく、やっと進入できたほどの難度だった。
 からだを仰向けに倒しても上部の岩に挟まれんばかりにうねりはカヤックを持ち上げた。

 ふだんは穏やかなはずの洞窟内部でも、うねりの影響で舟は揉まれた。狭いので、舟の微妙な操作が難しい。 同乗者に「頭に気をつけて!」と注意を促したとたん、私が耳の上をぶつけた。「今、音がしました」と同乗者。割れそうに痛かった。

 洞窟から出るとき、さらに大きなうねりがこちらに向かってきた。
 原住民にしてハーリーの名漕手でもあるキミマロ船長は、波の呼吸を測るように上手にクリアした。一方、脱出するのに精一杯の私はそんな余裕もなく、舟底を岩にガツン! そしてガリガリ! すごい音がした。
 船長のゆがむ表情が、必死の私の目の隅に映った。
 (私たちを心配してのことか、舟を心配してか、それは船長しかわからない。)


 今は、痛みは引いたもののあごを引っ張る筋肉にダメージがあって、口が大きく開きません。物が噛めません。手首は腫れて曲がりません。
 船長! しばらく休ませていただきます。
2008/06/29 15:14|自然TB:0CM:2

オツなもんです真夏の磯釣り


 夏、夏、夏! 日は高く、ほぼ真上にある。日蔭の温度計でも32度を指している。
 長袖、長ズボンにゲートルを巻き、タオルとヘルメットをかぶって完全武装。このブログに何度も登場している磯釣り名人の勇姿である。
 ところは島うちでも風光明媚で知られる白鳥岬。釣り道具一式を担ぎ、尖った岩場を歩くだけで頭がくらくらする。
 まき餌はオキアミ、針先には小エビ。浮き釣りである。
 「魚の動きが悪い」と名人は水面をのぞいては呟く。それでも、こちらの名前でイラブチャー、アウスン、カワハギ、アミナッヴェ、アカサガラ、ババなどが次々と食いつく。ついでにナベノフタというトコブシのような貝も捕獲し、まあまあの成果ではあった。

 この暑さの中で、水をがぶがぶ飲みながらあちこち歩き回り、足場の悪い場所に変な姿勢で立ち、手をべたべたにして小エビをつけては投げ、引いては投げる酔狂! 恐れ入りました。
 本日は、名人主催するところの「磯釣りツアー」の下見と、釣果撮影のために同行しました。大物狙いでなく、数をあげる小物釣りでした。

 *名人の「伊良部島・磯釣りツアー」
 ポイントまで案内・送迎、エサを含めた釣り道具一式、弁当飲み物がつき、釣り方の指導もしてくれる。さらには、興が乗れば釣った魚を料理したうえ三線を聴かせてくれることもある。
 (料金は人数で異なるので直接釣り名人にお問い合わせを。携帯090−1945−9866)
2008/06/26 08:26|未分類TB:0CM:2

満月の夜、ついにマクガン(やしがに)捕獲?


 ちょうど1ヶ月前のこと。軽トラックの荷台に乗り込みマクガン獲りに出かけたことがあった。
 磯釣り名人目当ての場所は、けつの青い高校生に先を越され、おじさんたちは歯ぎしりする結果に終わったのだった。
 しかし!
    *  *  *
 満月の翌日、シーカヤックのキミマロ船長からお誘いがあった。
 ほぼまあるいお月さまが宮古島方面の東の空から昇る前に集合し、草ぼうぼうのダート道を、船長とっておきの場所へ向かう。車を降りてからは、ヘッドランプを頼りに歩く。
 藪の中ではアダンのとげに刺され、尖った岩場を抜け、波を腰までかぶり、ようやく目的の洞窟入り口に着く。 低い位置だが煌々と月が照り、雨上がりでもなく、それほど蒸し暑くもない晩だったが、岩場をカサコソ音を立てて這っているマクガンをあわせて4匹見つけた(写真)。
 野生と出会う感動!!

 大きなバケツも用意しているし、食べたいのは山々だったが、小ぶりだったので見逃してやりました。大きくなってからいただきまーす。
2008/06/22 08:13|自然TB:0CM:2

正真正銘の夏来たる!


 移住して1年が過ぎようとしている。
 昨日(6月17日)、例年より短い梅雨が明けた。
 このところ、急な夕立があったり、夏らしい空が続いていたが、やっぱり本物の夏空はワンランク違う!

 デジカメが水没したとあちこちに泣きついたら、島のキミマロ船長が1台、福井の寝たきり釣り師が1台、中古を調達してくれた。群馬から来る友人は近々お土産に1台携えてきてくれるとのこと。ありがたいことである。
 残念ながらキミマロ船長のは使い物にならないが、福井から小包で着いたキャノンは上等だ。これで当面、ブログに対処できるようになった。

 写真は、そのごあいさつ。テラスからの正真正銘の夏空です。太陽がぎらぎら照って、日蔭でも肌にびりびり来ます。午後はハンモックでシエスタに限りますね。
2008/06/18 16:20|日常TB:0CM:4

ハーリーで自分も水没・つづき


 折り返し点を回り、なんだか舟が左右に揺れた。浸水がいやに多くなったと思う間もなく、私たちは右舷の海に放り出された。
 ここまでは、まあ一連の流れといおうか、何も考える余地はない。ウァーとかヒャーとか大きな声をあげて、夢中で舟底にしがみつく。同乗のつわものも、さすがに目を丸くして顔を見合わせ、舟にぶら下がっている。
 ぶらぶらする足下の海は濃紺。いかにも深い色である。
 リーダーの合図で、舟を復活させる作業に入る。底を見せている舟をひっくり返すのである。

「え、え、俺どうすりゃいいの」と頭は混乱するが、訴える暇はない。
 自分の側に舟が回転すればまだ良かったのかもしれないが、非情にも舟底は逆方向へ、高く遠く、私の手から離れて行った。頭に大量の水をかぶったかと思うと、泡立つ水面を見上げていた。
(今思えば、海底に消えるデカプリオ状態!)

 もがいて、手がどこかに引っかかったのですかね。潮水を二口ほど飲んであまりいい気分ではありませんでしたが、顔は水面に出て、右手は舟べりを握りしめていました。
 港からエンジンつきの船が救助に来てくれました。
 港は、迎えてくれるものなどなし。表彰式や慰労会の準備やらで忙しそうでした。

 *百年を超える伝統の伊良部島佐良浜ハーリーは5分会対抗戦です。5艘の爬龍船にそれぞれ1回づつ乗って5レースを行い、総合得点を競います。転覆したのは、相当気合の入った最終レースでした。
 *写真は爬龍舟の練習風景です。 
2008/06/12 10:43|民俗TB:0CM:4

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